2006 Fiscal Year Annual Research Report
変分的手法による活性因子・抑制因子型反応拡散系のパターン形成の解明
Project/Area Number |
18740083
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大下 承民 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (70421998)
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Keywords | シャープインタフェース / 特異摂動 / 楕円形方程式 / 活性因子・抑制因子型反応拡散系 / 遷移層 / 自由境界 |
Research Abstract |
本年度は,ある種の活性因子・抑制因子型反応拡散系の遷移層解の特異極限として現れる自由境界問題の研究を行った.具体的には,付随するエネルギー汎関数の変分の解析と適切な射影作用素を組み合わせた手法により,ロバン関数が非退化な臨界点をもてばある条件下で解を持つことを示した.さらに,この解は円板の小さな摂動となっていること,および線形化の意味で非退化であることを示した.これまでに知られていた結果は,球対称な場合だけであったが,非対称な場合への拡張に初めて成功した. 空間多次元において摂動法で凝集現象を扱うことは典型的な難しい問題の一つであるが,特異極限問題の解の非退化性を示すことがこのような問題を扱う上でのキーとなる.1点凝縮をもつ特異摂動楕円型方程式を扱うときにロバン関数が重要な役割を果たすことは知られていた.しかしながら,ここで扱う自由境界問題では1点とは全く異なる「曲線」を対象としている.このような場合に,ロバン関数を使って非退化な解を構成した点が本研究の斬新的アイデアの一つである. これらの研究結果を論文「Singular limit problem for some elliptic systems」にまとめ,京都大学数理解析研究所における研究集会「変分問題とその周辺」,別府で行われた研究集会「非線型の諸問題」,イタリア(Levico)で行われた研究集会「Recent advances in Free Boundary Problems and related topics」および日本数学会秋季総合分科会などで発表した.また,日本応用数理学会の学会誌「応用数理」の原稿「活性因子・抑制因子型反応拡散系の特異摂動問題とパターン形成」を執筆した.
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Research Products
(3 results)