2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱核のgradientのGauss型評価に伴う空間の幾何学的性質の研究
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18740084
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石渡 聡 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助手 (70375393)
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Keywords | 熱核のgradient estimate / 熱核のガウス型評価 / ベキ零離散群の連結性 / Poincareの不等式 |
Research Abstract |
本年度はグラフ上のランダム・ウォークに関する推移確率gradientのGauss型評価の安定性の研究を行った。空間に周期的な構造や、曲率が非負などの良い条件を持つ場合にはすでに多くの研究者によって研究されているが、この評価がquasi-isometryの下で安定かどうかについては明らかになっていない。この様な状況の下で次の結果を得た。あるグラフ上においてgradientのGauss型評価が成り立つと仮定する。このときこのグラフの辺に関する変形で、その変形部分の増大度が全体の増大度より小さく、ある条件を満たすときそのような変形の下でも熱核のgradientのGauss型評価は安定であることを証明した(現在投稿中)。この成果は東京確率論セミナー(東京工業大学、6月)、第53回幾何学シンポジウム(金沢大学、8月)において発表した。また、この研究の重要な例であるベキ零被覆グラフ上の熱核のgradientのGauss型評価は研究代表者により証明されているが、Dumgeyが用いたtime derivativeとweighted integralを用いる方法により別証明を与えた。この成果はAnnales Mathematiques Blaise Pascalから出版された。安定性の研究のためには熱核のgradientのGauss型評価が成り立たない空間を詳しく調べる必要がある。そのような空間の例を構成するために、空間にある種の連結性が低いとPoincareの不等式が成り立たないという事実を用いていることについて注目し、ベキ零離散群上ではPoincareの不等式が成り立つことを用いてベキ零離散群はその多項式増大度-2以下の増大度をもつ部分群の連結性を持つことを証明した(現在論文執筆中)。この成果はデーンセミナー(東北大学、10月)、多様体上の微分方程式(金沢大学、12月)、日本数学会2007年度年会(埼玉大学、3月)において発表した。
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Research Products
(1 results)