2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子統計的視点からの幾何学的漸近解析の諸問題の研究
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18740089
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
楯 辰哉 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (00317299)
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Keywords | 漸近展開 / 格子凸多面体 / Bernstein測度 / Szasz関数 / 凸多角錐体 / リーマン和 / Euler-Maclaudn公式 / トーリック多様体 |
Research Abstract |
本年度は、格子凸多面体上の格子点から定まるリーマン和の漸近挙動の研究を行った。格子凸多面体上のリーマン和の漸近挙動はトーリック多様体のToeplitz作用素のトレースの漸近挙動という大域解析的問題だけでなく、Todd類の具体的な表示や(それとある意味で同等だが)Ehrhart多項式の関数の決定に直接関連するという意味で、位相幾何学的にも組み合わせ論的にも重要な問題である。 具体的な手法は、まず凸多角錐体上のリーマン和の漸近展開を得ることにある。これは前年度研究したBernstein測度の類似物であるSzasz測度という測度を導入し、その漸近解析的性質を明らかにすることにより得られる。そして凸多面体上のEulerの公式の類似物である、Brion-Vergneによるある公式を用いて格子凸多面体上のリーマン和の漸近挙動を調べるというものである。この方針の利点は漸近展開の各係数が第二種スターリング数である程度具体的に表示が可能になることである。 現時点では格子凸多面体上のリーマン和の漸近展開公式を得るには至っていない。しかしSzasz測度の漸近展開公式、並びに凸多角錐体上のリーマン和の漸近展開公式は得ることが出来た。その凸多角錐体上のリーマン和の漸近展開公式を用いて、格子凸多面体上の公式の予想を立てることが出来たが、その予想はBerline-Vergneによるlocal Euler-Maclaurin公式を用いると少なくとも形式的には正しいことが分かる。つまり信憑性の高い予想となっているが、その厳密な証明には、本年度発見したある微分作用素の分解と部分積分から派生する種々の微分作用素の関連を調べる必要があり、更なる解析を要することが分かった。
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