2006 Fiscal Year Annual Research Report
導電体メッシュを用いた熱赤外線天文観測用フィルターの開発
Project/Area Number |
18740098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 隆志 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (90323500)
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Keywords | 赤外線天文学 / 波長選択フィルター / 多層メタルメッシュ |
Research Abstract |
熱赤外線域(波長10-40um)は星間空間と星周空間の境界領域となる温度域をトレースするため、天文学上非常に重要な波長帯である。しかしながら観測はほかの波長ほど進んでいない。その一因は使える光学材料の幅が狭く、波長選択フィルターを透過材料の膜で実現するのが難しいことにある。本研究は、熱赤外線観測天文学に応用できるような波長選択フィルターを、メタルメッシュフィルターという従来とはまったく異なった方法で開発することを目標としている。平成18年度までの研究で、ポリイミドを膜剤として用いたフォトエッチング法により、想定していた波長範囲(20-40um)で選択透過曲線を持つような多層メッシュ(メッシュ間隔〜20um、層間隔1.2um、3層)が製作できることを実証的に示した。完成したフィルターの有効サイズは10mm×10mmであり、小型装置には問題ないレベルにある(大型化も大きな課題は見つかっていない)。また、このフィルターは低温(4K)環境下でも破損が起きず、実用に十分な強度を持つ。さらに、ポリイミドの屈折率や膜厚の実測を行い、製作が意図どおり行われていることも確認した。さらに得られた値を用いることで、FDTD法による電磁解析シミュレーションで波長透過曲線を再現できることも明らかにした。これにより、多層メタルメッシュフィルターの設計方法、制作方法が概要で確立したことになり、天文観測への応用への道が開かれた。本成果は日本天文学会2007年春季年会で報告がなされている(酒向重行ほか、発表番号:V22a)。
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