2006 Fiscal Year Annual Research Report
始原的彗星塵の赤外線観測による原始太陽系星雲の研究
Project/Area Number |
18740101
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大坪 貴文 名古屋大学, 大学院理学研究科, 研究員 (50377925)
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Keywords | 光学・赤外線天文学 / 太陽系天文学 / 彗星 / 中間赤外線 / 塵 / ケイ酸塩 / 結晶質 / Deep Impact |
Research Abstract |
本研究では、原始太陽系星雲中で形成領域が異なると考えられているオールト雲彗星と木星族彗星という2グループの彗星において、その塵の性質の違いを明らかにすることにより、「原始太陽系星雲中での始原的物質の循環・微惑星形成」を探ることを自的としている。本年度はその中でも、特に彗星塵中の「ケイ酸塩の結晶質/非晶質比」という指標に着目して研究を進めた。 まず、これまでに我々がすばる望遠鏡を用いて中間赤外線帯で観測した2つのオールト雲彗星のスペクトルを同一の塵熱放射モデルで解析し、それを代表的なオールト雲彗星であるHale-Bopp彗星の塵の性質と比較することで、オールト雲彗星の間では塵のサイズ分布・組成比・ケイ酸塩の結晶質/非晶質比などでかなり近い性質をもつ可能性が高いことを定量的に示した。 一方、木星族彗星として、米国NASAのDeep Impact衝突探査のターゲット天体でもあった9P/Tempelを2005年7月に我々もすばる望遠鏡で地上観測をおこなっていたが、その中間赤外線分光観測データを基に、9P/Tempelの彗星核内部にはオールト雲彗星に近い結晶質ケイ酸塩が存在することを定量的に明らかにした。また今年度は、更に2つの木星族彗星を新たに中間赤外線帯で分光観測した(73P/Schwassmann-Wachmannと4P/Faye)。 次年度はこれまでに観測済みである数天体と合わせ、これらの木星族彗星について同一の塵放射モデルで解析をおこない、オールト雲彗星と木星族彗星での塵の性質の違いを統計的に見ることで、原始太陽系星雲中での塵の進化状況について探る予定である。
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Research Products
(2 results)