2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 浩 名古屋大学, 環境学研究科, 研究員 (40422761)
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Keywords | ダスト-デブリ円盤 / 系外惑星 / 惑星形成論 |
Research Abstract |
主系列星のような年をとった星の周りで発見されているダスト-デブリ円盤の存在とその系での惑星の存在を関連づける研究を行っている。今年度は、ダスト-デブリ円盤中での氷ダストの昇華が円盤分布にどのような影響をもたらすかを調べた。その結果、昇華温度は100-120K程度で、昇華領域ではダストがたまることがわかった。以上の結果で現在論文の執筆を行い、投稿準備中である。 ダスト-デブリ円盤を持つ星は惑星を持っていると期待されているが、ダスト円盤と惑星系の存在の関連性を明らかにすることは、まだ難しい。惑星の存在を明らかにするためには、惑星がある場合の印(円盤の明るさの濃密や熱輻射からわかるムラ)とそれ以外の効果での印を分別できなくてはならない。私は、まず、惑星がない場合にもできるダスト円盤に現れる印を明らかにするべく、ダストの昇華について調べた。 ダスト円盤は年をとるとダストの生成率が減り、それに伴い、Poynting-Robertson効果(P-R効果)により内側に落下するようになる。このようなダスト円盤は、空間的に等密度の"のっペり"とした円盤になる。しかし、観測されているダスト円盤は中心星に近い部分では観測されておらず、中心星に近い部分ではダストを消失させる機構が働いているのだろう。私は、氷ダストの昇華の効果を考慮したときにダスト分布はどのようにかわるかを調べた。 氷ダストは昇華によるサイズ減少のタイムスケールとP-R効果による落下のタイムスケールが一致する程度の場所で昇華により小さくなり、その場所に長くとどまる。最終的にダストが小さくなるにつれて、中心星からの輻射圧が中心星重力より強くなり、ダストは系外に飛んでいく。そのため、ダストの分布は昇華領域より外側では一定、昇華領域では上昇、内側ではほとんどなくなる。この昇華領域での上昇率を中心星の光度の関数として求めた。中心星光度が太陽光度の100倍より小さいときは、昇華領域での光学的厚さの上昇率は2倍程度である。一方、100倍以上ならば、上昇率は10倍以上になる。
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