2006 Fiscal Year Annual Research Report
星間分子雲の収縮から第二コアの形成と高速ジェット現象の解明
Project/Area Number |
18740104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
町田 正博 京都大学, 大学院理学研究科, 研究員 (10402786)
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Keywords | 星形成 / 数値計算 / 星間磁場 / ジェット / 分子雲コア / アウトフロー / 多層格子法 / 星間物質 |
Research Abstract |
大規模数値シミュレーションによって、分子雲コアの進化と形成した原始星からのジェットについての研究を行った。星形成領域でアウトフローとジェットという特徴の異なる二種類のフローが多数観測されている。ジェットは高速で良くコリメートしており、アウトフローは低速で大きな開口角を持つ。一般に、アウトフローは原始星から駆動したジェットによって引きずられて駆動すると考えられている(エントレイメント説)。しかし、実際に、このメカニズムで各々のフローが駆動するかどうかは分かっていない。これらのフローの駆動メカニズムを確かめるためには、数値シミュレーションが必要であるが、様々な困難のために現在まで行われてこなかった。我々は、高密度でオーム散逸を実装した3次元多層格子法を用いて、分子雲コアから原始星が形成するまでの直接計算を初めて成功させた。計算の結果、高速でコリメーションの良いフローが原始星から駆動し、低速で広い開口角を持つフローがファーストコアという原始星形成前の別のコアから駆動することが分かった。ファーストコアは、磁場の散逸前に形成するために、強い磁場と砂時計型の形状を持つ、他方、原始星は磁場の散逸後に形成するために弱い磁場とストレートな磁場形状を持つ。その結果、ファーストコアからのフローは磁力線に沿って広い開口角で広がり、原始星からのジェットは狭い開口角で回転軸と平行な上下方向に伝播する。また、アウトフローとジェットの速度の違いは、各々のコアの重力ポテンシャルの違いに起因することが分かった。この研究により、従来考えられていたようにアウトフローはジェットに引きずられて駆動するのではなく、アウトフローとジェットは異なるコアから駆動するということが分かった。
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