2006 Fiscal Year Annual Research Report
可視光領域の高精度偏光スペクトル精密解析による太陽コロナ加熱源の解明
Project/Area Number |
18740106
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 伸一 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (30362437)
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Keywords | 太陽 / 偏光 / プラズマ |
Research Abstract |
太陽の表面温度は6000度だが、その上空には100万度以上の高温大気のコロナが存在している。これまでの観測から、コロナは太陽表面から突き出た磁力線に高温プラズマが閉じ込めらた磁気ループを基本構造であることが分かっている。このためコロナプラズマ生成には、構造を支配する磁場が本質的であると考えられている。従って、エネルギー供給源である表面での磁気ループの構造と運動の解明が、コロナ加熱機構特定つながると予測されている。しかしながら刻々と変動する地球大気の影響を受ける地上の観測条件下では、空間サイズ100km程度の磁力線の観測は達成が極めて困難である。本研究では、2006年9月に打ち上げられた「ひので」衛星が取得する高精度偏光スペクトルの精密解析を実施し、加熱機構解明を目指すものである。18年度は、打ち上げ直後の「ひので」衛星の望遠鏡のデータの校正から取り組む一方で、偏光スペクトルデータの解析手法の解析に取り組んだ。その上で、太陽表面での磁力線構造の時間変動の詳細観測を実施し、データの解析に取り組んだ。本観測と解析により、これまでの観測では分からなかった表面での強い磁束管の生成過程を同定することができた。上空に突き出る磁力線は、電磁流体力学の理論的研究により、表面では磁場強度〜1kG、半径〜150kmの磁束管であると考えられているが、その生成過程は観測的には検証されていない。本研究では、理論から予測される、強い磁場の磁束管が出来る際に発達する熱不安定性起因の高速下降流の急激な時間発展と考えられる現象を多数見出した。今後、磁場構造の時間変動を調べることにより、強い磁束管形成シナリオの検証につながると期待される。さらに、磁束管基本構造の解明で構築した手法を適用することにより、コロナプラズマ生成に寄与する電磁流体現象の特定につながると期待される。
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