2008 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線撮像分光および多波長観測によるパルサー星雲でのプラズマ加速機構の解明
Project/Area Number |
18740108
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
森 浩二 University of Miyazaki, 工学部, 准教授 (00404393)
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Keywords | X線天文学 / パルサー星雲 / 超新星残骸 |
Research Abstract |
ステレオ型地上チェレンコフ望遠鏡の登場により飛躍的に感度が上昇したTeVガンマ線領域において、広がっている他波長未同定天体の多くがパルサー星雲だと考えられている。この対応関係を調査する上で、それら未同定天体の他波長での観測を進めることと平行して、TeVガンマ線と他波長での対応がはっきりついているパルサー星雲の特徴をよりよく研究することも重要である。我々は後者のアプローチをとり、観測対象としてベラパルサー星雲を選び、X線天文衛星「すざく」で観測をおこなった。これまでに、硬X線での空間的な広がりを明らかにし、スペクトルがパルサーから離れるにつれて軟化する様子を明らかにした。本年度はさらに電波観測との比較から、ベラパルサー星雲がベラ超新星残骸に起源をもつイジェクタに囲まれている様子を明らかにした。この結果は、パルサー星雲からの放射と加速機構を研究するうえで、パルサー星雲単独ではなく、それらが付随する超新星残骸との相互作用も併せて考慮することが重要であることを示唆する。また、ベラパルサー近傍に位置する超新星残骸RXJ0852.0-4622(VelaJr.)を「すざく」衛星で観測した。VelaJr.もTeVガンマ線天体であり、プラズマ加速を調べる上で重要な天体である。我々はこの観測により、硬X線での詳細な姿を明らかにし、TeVガンマ線とよい対応があることを示した。加えて、既に観測がおこなわれていたXMM衛星によるデータを解析し、VelaJr.の衝撃波の膨張速度を測定した。この結果から、VelaJr.の年齢と距離がこれまで考えられていた値よりもいずれも大きいほうが妥当であることを示した。
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