2006 Fiscal Year Annual Research Report
進化末期の恒星に見られるジェットの発現・成長過程の解明
Project/Area Number |
18740109
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
今井 裕 鹿児島大学, 理学部, 助手 (70374155)
|
Keywords | 宇宙メーザー / 恒星質量放出 / 脈動変光星 / 恒星ジェット / 超長基線電波干渉法 |
Research Abstract |
本研究課題では、恒星進化末期に出現する細く絞られた双極的高速ガス流(ジェット)の発生時期と発現機構の解明を目指している。そこで、現在最高の角分解能を実現する国内外の超長基線電波干渉計(VLBI)を用いて、恒星進化末期にのみ出現する水酸基・水蒸気・一酸化珪素分子が放つ宇宙メーザーを観測してきた。今年度は、その中で下記のような知見を得られた。来年度早期の論文投稿に向けて、準備中である。 1.野辺山45m鏡で新たに発見された高速ガス成分の存在を示す水メーザー源2天体(IRAS18286-0959,IRAS18460-0151)のVLBI観測を実施した。既にデータ取得したW43Aと共に水メーザー源の空間・速度構造の分析を行ったところ、高速ガス流とは垂直方向への低速流(=赤道流)が存在することが明らかになってきた。これは、孤立した単一老星においてもこのようなジェットが形成されると言う理論モデルの予測と一致する。 2.既にVLBI観測が実施された6天体について統括的に眺めると、高速ジェットが水メーザー源として観測される期間が100年程度であることが分かった。 3.IRAS19134+2131については、8kpcに対応する微小な年周視差計測に成功し、この天体が生まれて現在の銀河面からの距離(650pc)に達するまでに最低7000万年が必要であることが分かった。この程度の寿命を持つ5太陽質量でも双極ジェット形成が期待できるという、理論モデルからの示唆を支持する結果となった。 4.国立天文台VERA 20m・野辺山45m電波望遠鏡等を用いて新恒星ジェット候補天体をVLBI観測し、ジェット発現時期にはまず双極円錐状のガス流が形成されることを示唆する結果を得た。
|
Research Products
(3 results)