2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740111
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松下 恭子 東京理科大学, 理学部, 講師 (50366423)
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Keywords | X線天文学 / 銀河団 / 銀河 / 元素合成 |
Research Abstract |
研究の目的は、銀河団や早期型銀河に含まれる酸素の量を2005年に打ち上げられた日本のX線天文衛星すざくやヨーロッパで活躍中のXMM-Newton衛星を用いて調べることである。、酸素の総質量は、かつて形成された重質量星の数を反映する。現在の銀河の光度と比較することにより、寿命の短い軽質量星との数の比、すなわち、星の初期質量関数に制限を与えることができる。銀河団には銀河の質量の数倍の数千万度の高温ガスが存在し、X線を放射している。銀河団ガスに含まれる鉄の量は、銀河団中の銀河の星に含まれている鉄の量に匹敵する。しかし、もっとも重要な元素である酸素については、ほとんどわかってはいなかった。 平成18年度は,平成17年に打ち上げられたすざく衛星により、炉座銀河団や楕円銀河の観測を行い、銀河団ガスや銀河のガスに含まれる酸素、マグネシウム、珪素、鉄の分布を求めた。銀河団全体の銀河団ガスの酸素や銀河全体の酸素やマグネシウムの分布を求めることができるのは、すざく衛星がはじめてとなる。その結果、炉座銀河団のように、小規模な銀河団や楕円銀河では、Ia型超新星の寄与が大きいこと、また、巨大銀河団に比べて、銀河の星の明るさで規格化したときに、鉄や酸素の質量がずっと低いことを発見した。これは小規模銀河団や楕円銀河でかつて合成された重元素が銀河団や銀河の外に逃げ出したことを示唆するものであり、重元素の起源や、歴史に強い制限を加えるものである。
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