2006 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙における星形成銀河からの電離光子の漏れ出しに関する研究
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18740114
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
岩田 生 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 上級研究員 (40399275)
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Keywords | 宇宙再電離 / 電離光子 / 星形成銀河 / ライマンブレイク銀河 / ライマンα輝線銀河 |
Research Abstract |
すばる望遠鏡主焦点カメラ用の専用狭帯域フィルター(中心波長359nm、波長半値幅15nm)を製作した。このフィルターは赤方偏移3.1付近の星形成銀河からの電離光子を効率よく検出できるように最適化されたものであり、すばる望遠鏡の主焦点の極めて広い視野とあわせて、世界的にも非常にユニークなフィルターとなっている。国立天文台先端技術センターにて性能評価を行い、所期の透過効率、波長特性をもち、かつブロックガラスおよびフィルターにより、他の波長域では光のリークのないことが確認された。完成したフィルターは国立天文台ハワイ観測所に輸送され、観測割付が行われれば使用可能な状態になっている。2007年度9月頃にSSA22領域にある赤方偏移3.1付近の大量の星形成銀河(ライマンブレイク銀河、ライマンα輝線銀河)を観測する提案を行っている。一方、ヨーロッパ南天天文台のVLT(Very Large Telescope)での別の天域(BR1202)の星形成銀河に対する撮像観測を実施した。VLTの観測装置FORSは、視野の広さではすばる望遠鏡に及ばないが、対象となる370nm付近での感度は若干上回っており、すばる望遠鏡での観測とは相補的である。2006年の観測期に得られたデータは既に解析した。電離光子の漏れ出しについて強い制限を与えるためには、さらに長時間の観測データが必要である。2007年にも観測割り当てを受けることができたので、新たなデータを含めた解析を行う予定である。 また、初期宇宙における星形成銀河の紫外域での観測も進めている。2006年度にはすばる望遠鏡での観測成果をまとめた論文を投稿し受理された(2007年4月出版)。これらの銀河の性質をさらに詳しく調べるための観測をスピッツァー宇宙望遠鏡などを用いて行っており、現在データ解析を進めている。
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