2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740124
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 晴雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教育研究支援者 (90400233)
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Keywords | 反電子型ニュートリノ / 中性子吸収 |
Research Abstract |
今年度は反電子型ニュートリノの逆ベータ崩壊によって生じた中性子の方向識別するために必要な、熱中性子よりも高い運動量をもった中性子を吸収する原子核の選定を行った。その候補としてあげられたのがホウ素とリチウムである。ホウ素は吸収断面積が大きくまた同位体の自然界存在率が多いので検出効率という点では有利なのだが、中性子吸収反応時にガンマ線を放出し今回の目的である方向識別の障害となるのでリチウムを用いることにした。液体シンチレーターは主成分がトリメチルベンゼンなどの有機物なので、有機物でリチウムが含まれている物質を探し、いくつか候補をしぼるところまで完了した。 リチウムが反応して生成されるのはアルファ粒子なので、もし液体シンチレーター中にラドンなどのアルファ線源があると、それらと本研究の目的である中性子吸収反応を区別しにくくなる可能性がある。そこで液体シンチレーターの溶媒となるトリメチルベンゼンと発光材となるジフェニルオキサゾールを、蒸留法を用いて純化することにした。特にジフェニルオキサゾールは常温で固体でありかつ沸点が1気圧で200度をこえる物質であるために蒸留するのには苦労をともなった。結果、高真空容器を用意し0.01気圧まで減圧された環境下を用意することで蒸留することに成功した。蒸留されたジフェニルオキサゾールを用いた液体シンチレーターの発光量が増加するという想定外の効果まで得られた。
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