2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740126
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
酒井 忠勝 茨城大学, 理学部, 助手 (50375359)
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Keywords | ゲージ理論 / 弦理論 / 双対性 / バリオン |
Research Abstract |
今年度はゲージ理論特に量子色力学(QCD)の非摂動的側面の理解を目指して、ゲージ理論/弦理論双対性の立場から研究を行ってきた。私が取り上げたのは、私自身の過去の共同研究により導かれたモデルで、QCDに双対な弦理論としては現在のところ最も成功しているモデルである。実際このモデルから、QCDの低エネルギー領域で起こると信じられている様々な物理現象が見事に説明されることが示されており、近年注目されている。 今年度の私の主な研究テーマはこのモデルをより詳細に解析することにより、ハドロン物理の理解を目指すことにあった。そのなかで特に私が注目したのは、バリオンをいかに記述するかである。バリオンを記述する方法としてよく知られているのは、スカームモデルのソリトン解を用いる方法がある。しかしながら、これではメゾンのうち一番軽いパイ中間子の効果のみを取り入れるだけであり、重いベクトルメソンからの効果がまったく無視されている点で不満であった。私は1月に書き上げた共著論文において、無限個のベクトルメソンの効果を考慮したソリトン解を構成するのに成功した。さらにこれからバリオンの質量スペクトラムを計算し、これまで取り扱いの難しかった負のパリティーを持つバリオンが非常に簡単に記述できることを示した。さらに質量スペクトラムの定量的な値も実験結果と比べて非常に興味深い対比を示していることを確かめた。この論文は現在Progress of Theoretical Physicsに投稿中である。
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