2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740126
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
酒井 忠勝 Ibaraki University, 理学部, 准教授 (50375359)
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Keywords | ゲージ理論 / 弦理論 / ハドロン |
Research Abstract |
本年度は、2004年の共同研究において構築したモデルを用いて、バリオンに関する研究を行った。このモデルは近年のゲージ理論と弦理論の双対性の発展に基づいて提案されたもので、その発表された当初からハドロン物理の有効な解析方法の一つとして注目された。このモデルは最初メゾンの解析に適用され多くの成功を収めたが、その一方でバリオンに関してはまだまだ解明すべき多くの問題が残されていた。このような流れの中、我々はまず核子の持つ様々な性質、具体的には核子の磁気双極子モーメントや荷電半径また電磁気形状因子などを上で述べたモデルを用いて計算した。その結果は、実験結果ともよく一致するだけでなく、概念的にもこれまでにない利点を持っている。その利点とは、形状因子の結果にパイ中間子やρ、ωなどの軽いメゾンのみならず、無限個のメゾンからの寄与を取り入れることに成功したことである。これは世界で初めて得られた結果であり、その意義が理解される。この仕事はすでにProgress of Theoretical Physics誌に出版されている。我々はさらに上のモデルを用いて、核子間に働く力に関する研究も行った。核子間には短距離で斥力芯が働くと古くから考えられてきた。実際斥力芯の存在により様々な物理現象が説明できることができる反面、その芯を第1原理から理論的に導き出すことは非常に困難であった。我々は上で述べたモデルを用いて核力芯を求めることに成功した。これは核力間の距離依存性について非常に興味深い結果を与えることとなった。この結果はすでにプレプリントとしては出版されている。
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