2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740133
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 新一郎 Kyushu University, 高等教育開発推進センター, 助教 (90401166)
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Keywords | 現実的核力 / 有効相互作用 / unitary-model-operator approach / 殻模型 / 第一原理計算 / 多体問題 |
Research Abstract |
自由空間における核子-核子散乱データを高精度で再現するように作られている種々の現代的核力から出発して、原子核における基本的性質である魔法数、基底状態エネルギー、一粒子エネルギー準位等の構造を多体理論unitary-model-operator approach(UMOA)によりpf殻領域の^<56>Ni程度の原子核まで微視的に記述することが可能となった。現在、より精密な計算結果を得るために模型空間を拡大した計算を実行中である。また、UMOAで用いられているユニタリー変換の方法を応用し、芯なしの殻模型計算のための有効相互作用を現代的核力から微視的に求め、中性子過剰炭素同位体や^<18>Oに対する大規模殻模型計算を行ってきている。中性子過剰炭素同位体である^<16>Cや^<18>Cについてはすでに前年度の研究において学術雑誌上に公表しているが、今年度はより重いドリップライン近傍核である^<20>Cや^<22>Cに対しても現実的な数値計算が出来るような方法を開発してきた。この領域の不安定核構造を現代的核力に基づき微視的に記述するのは本研究が世界で最初である。^<16>Cと同様の模型空間の広さで^<20>Cや^<22>Cのような原子核の殻模型計算を行うと対角化する行列の次元数が10億次元を超え数値計算がかなり困難となるため、模型空間を少し縮小して計算する方法を考案した。この処方によっても^<16>Cの計算結果が以前のものとそれほど変わらないことを確認した上で、実際に^<20>Cや^<22>Cに対する殻模型計算を実行してきている。計算がかなり大規模となったため、まだ成果を学術雑誌に投稿するまでにはいたっていないが、日本物理学会での口頭発表等において途中経過を報告してきている。計算、解析が完了次第、論文としてまとめる予定である。一方で^<18>Oに対する殻模型計算が先に完了したため、その成果を論文にまとめ、学術雑誌Phys. Rev. Lett.に投稿した(現在審査中)。
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