2006 Fiscal Year Annual Research Report
格子量子色力学を用いたクォーク・グルーオン・プラズマの数値的研究
Project/Area Number |
18740139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
滑川 裕介 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (00377946)
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Keywords | 核理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、格子量子色力学に基づく数値シミュレーションにより、有限温度相転移点近傍におけるクォーク・グルーオン・プラズマの性質を探る事である。 研究目的達成のため、本年度は、まず相転移温度の計算を行った。非等方格子を用いた格子量子色力学シミュレーションの結果、相転移温度160MeVを得た。この値は、従来の等方格子での結果に比べ、10%程度低い。この差が、非等方格子により有限格子間隔に起因する系統誤差を効果的に削減させる事が出来たためかどうか、検証中である。 このシミュレーションによって得られたデータを用いて、ハドロンの波動関数の測定も実施した。波動関数は、ハドロンの束縛具合を示す指標となる物理量である。ゼロ温度での波動関数と有限温度の波動関数を比較する事で、相転移近傍でもハドロンが構成されているか、それともクォーク・グルーオン状態となっているか判定でき。我々の計算では、ゼロ温度と有限温度での波動関数に系統的な違いは見られなかった。つまり、少なくとも相転移温度付近では、ハドロンは依然クォークの束縛状態として存在している事が示唆される。現在、クォーク間ポテンシャルの測定を行い、この波動関数の描像と矛盾しないか調べている。 波動関数に加え、スペクトラムの計算をも実行した。その際、波動関数の情報を用いて、スペクトラムの信号を改善させる事に成功した。.ただし、当初計算予定だったチャームクォーク系に対しては、系統誤差が大きく、期待通りの精度を出すのが難しいと判明した。そこで、スペクトラムの計算は、軽いアップ及びダウンクォークを含むハドロンに注力して実行している。
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