2008 Fiscal Year Annual Research Report
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18740143
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森山 翔文 Nagoya University, 多元数理科学研究科, 助教 (80402452)
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Keywords | 素粒子論 / 数理物理 / 弦理論 / ゲージ理論 / 超対称性 / 可積分性 / ヤンギアン代数 / セール関係式 |
Research Abstract |
科学研究費申請時の研究計画に基づいて、弦理論の非摂動論的な効果に関する研究を行った。今年度は特に超対称ヤンミルズ理論の可積分性に関する研究を行った。弦理論とゲージ理論の対応関係に関する研究の中で、双方に可積分性の構造があることがわかった。具体的には超対称ヤンミルズ理論を抽象化したスピンチェイン模型から散乱行列を構成すると、ヤンバクスター方程式を満たすことがこれまでの研究で示された。これは系に可積分性があることを示唆する。ところが、系の対称性が可積分性のヤンギアン代数を満たすことを示すには、さらにヤンギアン代数のセール関係式を調べる必要がある。これまでいくつかの困難になって、模型に対して仮定されていたevaluation表現がセール関係式と無矛盾であることが、具体的に示されていなかった。一つの困難は超リー代数のキリング形式の縮退によるもので、構造定数の添え字の上げ下げが事実上不可能だった。これに対して昨年度の研究で、縮退が解けている例外超リー代数から極限をとる手法が確立された。もう一つの困難は、構造定数の複雑さに由来する。これに対して、三次元ガンマ行列を導入して、必要な計算をフェルミオンの散乱振幅の計算に書き換えることに成功した。これによって、セール関係式との無矛盾性を具体的に示すことができた。また、セール関係式は高次の対象性生成子に対する制限を与える。セール関係式を示すことによって、高次の対称性生成子に対する知見が得られた。この研究成果は現在雑誌に投稿中である。
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