2008 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル法を用いたアインシュタイン方程式の超高精度数値解法の研究
Project/Area Number |
18740144
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原田 知広 Rikkyo University, 理学部, 准教授 (60402773)
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Keywords | 数値相対論 / ブラックホール / 暗黒エネルギー / 重力崩壊 |
Research Abstract |
一般相対論の数値解法である数値相対論の主な活躍の場であるところの、ワームホール・重力崩壊・そして膨張宇宙におけるそれらの性質に関する研究を行った。以下では、査読雑誌発表論文に基づいて研究実績の内容について述べる。 1. 膨張宇宙におけるワームホールの存在可能性について調べた。特に、エネルギー条件を満たすような物質についてEinstein方程式の解として具体的にワームホール構造を持つ解を構成することに成功した。ただしこれは通り抜け可能なワームホールではなく位相的なものである。 2. 一般的なI型物質からできている中空の球が光速に近い速度で円筒的に重力崩壊する時空について調べ、その動径方向および角度方向の応力が重力崩壊に及ぼす影響を明らかにした。この結果、角度方向の正の応力は微小であっても無視できず崩壊は急減速することが分かった。一方、これが負になる場合は一定の条件のもとでは光速で崩壊する模型が良い近似を与えることも分かった。 3. ループ量子重力における重力崩壊を調べるため、球対称ダスト模型にループ量子重力効果を考慮した定式化を行った。さらにこの系について、解析的な近似解と数値解を求め、ループ量子重力的な効果の解析を行った。そして今回の定式化の範囲内では特異点回避という性質は見られなかった。しかし発生する特異点についてはそれがより弱いものに移行する可能性を示した。 4. 膨張宇宙においてクインテッセンス優勢期におけるブラックホールの成長を調べるため、漸近的Friedmann宇宙においてポテンシャル項をもつスカラー場を重力源とするEinstein方程式の自己相似解の漸近的なふるまいを調べた。その結果、自己相似的に成長するブラックホールが可能であるための必要条件を満たすことが分かった。
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