2008 Fiscal Year Annual Research Report
アトラス実験における超対称性粒子の早期発見のための研究
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18740151
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金谷 奈央子 The University of Tokyo, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (80418780)
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Keywords | 超対称性粒子 / ハドロンコライダー / LHC実験 / ATLAS実験 |
Research Abstract |
残念ながら加速器における超伝導磁石の問題により実験開始には到らなかったため、今年度は昨年の研究の続き、並びに改良を主に行った。また今年度前期はオフライン解析におけるカロリーメータ検出器の経験を生かし、更なるカロリーメータ検出器・トリガーの理解のため、ハイレベルトリガー、主にアルゴリズムの検証に貢献した。 超対称性粒子発見後の研究 : 未知の信号であるため、ある仮定の下系統だった研究が必要となる。2つの独立な包括的断面積測定(カウンティングと質量測定)の一致性を見ることにより、ある特殊な仮定を破棄する可能性について調べた。質量測定から断面積への焼き直し、並びに未知の信号に対する検出効率の不定性が大きいが、極端な例、squark質量がgluino質量の2倍以上の場合等は十分排除できることを示した。トリガー効率や、仮定に付随する系統誤差をより正確に見積もり信頼性を上げることが今後の課題である。 カロリーメータ検出器の理解 : アトラス検出器はカロリーメータ前方に0.5〜1.2ハドロン吸収長の物質をもっており、これを正しく理解することはエネルギーの精密測定においてきわめて重要である。実験初期にできる研究として、ミニマムバイアス事象における荷電パイオン粒子のE/P応答をカロリーメータ前方の物質量が異なる領域毎で見ることにより、前方物質量の簡単なチェックが行えないか調べた。カロリーメータにおける荷電パイオン以外の寄与(バックグラウンド)をデータから推定し、除去することに成功した。電磁シャワーを起こす粒子を使う手法に比べて物質量に対する感度は低いが、実験初期におおまかなチェックをするには十分であることを示した。
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