2006 Fiscal Year Annual Research Report
高感度天体偏光計の開発と、系内コンパクト天体の放射機構の解明
Project/Area Number |
18740154
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水野 恒史 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20403579)
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Keywords | PoGO / 偏光 / 気球観測 / コンパクト天体 / SpaceWire |
Research Abstract |
本年度は天体硬X線偏光計PoGOの応答関数と回路系の確立を目指して研究を行なった。そのために、宇宙実験の分野で通信の共通規格となりつつあるSpaceWireを搭載した、実機の回路のプロトタイプを新たに開発し、小型シンチレーターおよびセンサーのプロトタイプと組み合わせ、実験室で詳細な試験を行った。 回路においては、主検出部からの信号とシールド部の信号の弁別がなによりも重要であり、それには信号に十分追従できる高速応答が求められる。ハワイ大学、スタンフォード線形加速器センターと共同で低消費電力・高速アンプをデザインし、1秒の1000万分の一秒以下という極めて高速な応答をもつ回路を開発した。この回路と小型シンチレーターを組み合わせた試験を通し、観測時の温度での性能を室温の結果からスケールするための基礎データを取得するとともに、プロトタイプセンサーを用いた詳細な試験を行い、PoGOで観測下限である25keV程度という微小な信号まで、主検出部とシールド部とを弁別できる見込みが初めてえられた。現在は取得データを元に性能向上のためのアルゴリズムの開発を進め、応答関数の確立へとつなげる見込みである。またシールド部を利用したバックグラウンドモニタ機能の開発も行い、観測時に予想される高レート(数100Hz)を10倍上回る超高レートにおいても、バックグラウンドのスペクトル、フラックスを正しく取れるデジタル回路を開発し、大阪大学核物理研究センターの陽子ビーム試験で動作の実証を行なった。これらの成果は、秋および春の学会で報告を行なった。これらSpaceWire搭載回路の開発は、宇宙科学研究所、東京大学、東京工業大学、大阪大学などと共同で作業をすすめている。 あわせて、Suzaku衛星を用いたコンパクト天体の研究も行なった。
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