2007 Fiscal Year Annual Research Report
高感度天体偏光計の開発と、系内コンパクト天体の放射機構の解明
Project/Area Number |
18740154
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水野 恒史 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 助教 (20403579)
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Keywords | X線偏光測定 / コンパクト天体 / 大気中性子 / SpaceWire / 硬X線多層膜反射 |
Research Abstract |
本年度の成果は、大別すると[1]大気中性子も含めたバックグラウンドの評価[2]それを踏まえた、代表的天体からの偏光観測の感度評価[3]放射光によるプロトタイプの実証試験の3つに分けられる。[1]では、大気ガンマ線、荷電粒子に加え中性子の寄与も評価することで、気球環境での主要な粒子を網羅した評価が可能になった。大気中性子が主要なバックグラウンド源であることが分かり、それを元に検出器のデザインを最適化した(IEEE国際会議発表など)。これら最新のバックグラウンド、検出器応答を取り込んだ上で、かに星雲、かにパルサー、ブラックホール連星Cyg X-1などからの偏光検出の感度評価を行い、高い感度で検出できる見通しを得た。 (Axelsson et al. 2007およびIEEE国際会議発表)。平行してプロトタイプの製作、SpaceWire規格を用いた回路の開発および試験も行い、データ取得系も含めてフライト構成での試験(7ユニットおよび19ユニット)を高エネルギー加速器研究機構の放射光を用いて行った。データ取得システムの開発は広島大学の修士論文としてまとめられ、データ解析、シミュレーションとの比較を行っている。あわせて多古屋大学、宇宙科学研究所と共同で硬X線多層膜反射鏡の偏光特性(於Spring-8)の試験も行い、硬X線望遠鏡を偏光観測に応用できる見通しを得ることができた。この結果は宇宙科学研究所の修士論文としてまとめるとともに日本天文学会で発表した。米国天文学会でも報告予定である。
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