2006 Fiscal Year Annual Research Report
加速器実験における高次元ブラックホール生成の理論的解析
Project/Area Number |
18740161
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
鳥居 隆 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (00360199)
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Keywords | ブラックホール / 加速器実験 / 高次元宇宙モデル |
Research Abstract |
加速器実験で生成されるブラックホールは高次元時空モデルに基づいて導出される.これは重力の量子論でもある超弦理論からの予言である.実際に加速器でブラックホールが生成される場合には,その大きさは原子核程度に小さく,事象の地平面付近の曲率は極めて大きくなる.そのために生成イベントのシグナルには超弦理論の低エネルギー近似補正である曲率高次項の影響が大きく効くと予想されている.そこで,その影響をブラックホール熱力学の立場から調べた.4次元時空ではブラックホールは通常の熱力学と同様のブラックホール熱力学が成立すると考えられ,物理的な状況の下では数学的な証拠も示されている.その中で第3法則は事象の地平面の温度がゼロのextreme解が形成されないことを主張するもので,宇宙検閲官仮説と関係した重要な法則である.非extremeのブラックホール時空におけるダストシェルの動的な過程を拡張された接続条件を用いて調べた結果,あるパラメータ領域では有限時間内にブラックホールの温度がゼロになることが判明した.これは曲率高次項の入った一般の高次元時空ではブラックホール熱力学第3法則が破れ,加速器でextremeブラックホールが形成される可能性があることを意味している.このことからシグナルはこれまでに考えられていたものとは大きく変わる可能性が示唆される.また,粒子衝突によるブラックホール形成の数値シミュレーションの準備を行った.曲率高次項の影響を見るために,これまでの一般相対性理論の解析は用いることができない.そこで,曲率高次項を入れたモデルで新たにADM形式を構成した.現在は初期値問題を解く段階まで進んでいる.
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Research Products
(2 results)