2006 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙論的非線形ダイナミクスとダークエネルギー・ダークマター問題
Project/Area Number |
18740164
|
Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
森田 正亮 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 助教授 (50390563)
|
Keywords | 宇宙物理 / 理論天文学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宇宙のダークエネルギー・ダークマターの物理的実体やオーダーの一致問題を解明する上で、宇宙の非一様構造の非線形進化がいかに寄与するか、を定量的に考察することにある。平成18年度は、その準備のために、まずある種のダークエネルギーモデルにおける非一様性の線形進化について考察した。 宇宙のダークエネルギーに関して、現在までに非常にたくさんの理論上可能なモデルが提案されている。これらの多くは、宇宙の一様な成分のみを考え、この一様成分による宇宙膨張が観測的に無矛盾であるように構築されているが、その二方、現実の宇宙は大規模構造などの非一様性を有している。仮に、あるモデルの一様成分のダイナミクスが観測的に無矛盾であったとしても、非一様性においても無矛盾であるとは限らない。そこで、ダークエネルギーモデルとして、スカラー場によるものと流体によるものとを考え、これらが同等な宇宙膨張を与える場合に、非一様性の線形進化にどのような違いが現れるかを考察した。その結果、その違いは主に非一様性が伝播する際の音速に相当する部分に現れること、また宇宙膨張による摩擦項等にも微妙な違いが現れることが示された。したがって大規模構造などの非一様性の観測から、ダークエネルギーのモデルをより絞り込める可能性が示唆される。 これらの点に関して、8月から9月にかけて、お茶の水女子大学理学部の森川雅博教授、フランス・モンペリエ第二大学のDavid Polarski教授、イタリア・ローマ天文台のLuca Amendola教授と議論を行った.また、これらの研究成果は、9月上旬にスペイン・マヨルカ島パルマにおいて開催されたSpanish Relativity Meetingおよび10月下旬に米国ハワイ州ホノルルにおいて開催された太平洋地区合同物理学会において口頭発表された。以上の成果を現在論文にまとめており、学術雑誌への投稿を準備中である。
|