2006 Fiscal Year Annual Research Report
将来実験、観測に向けての標準模型を超える素粒子理論の解析及び構築
Project/Area Number |
18740170
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岡田 宣親 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (40360333)
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Keywords | 超対称性 / 余次元模型 / 暗黒物質 / 加速器実験 / 宇宙線 / 大統一模型 |
Research Abstract |
1.リトルヒッグス模型における暗黒物質の研究 近年の宇宙観測において、暗黒物質の存在が確実なものとなった。観測から示唆される暗黒物質の候補は標準模型には存在しないため、この事実は、新しい物理の存在を強く示唆している。暗黒物質の候補となり得る粒子を含む新しい物理の模型はいくつか存在する。近年に提唱されたリトルヒッグス模型で、特にTパリティーと呼ばれる離散的対称性を持つ模型は暗黒物質の候補粒子が含まれている。この模型において、暗黒物質の候補粒子の初期宇宙での残存量を計算し、現在の観測から決められた暗黒物質量と合致するためのパラメーター領域を明らかにした。さらに、この暗黒物質が我々の銀河のハロー内で対消滅して生成する陽電子のフラックスを計算し、将来の宇宙線観測実験での観測可能性についての議論を行った。また、この模型における電弱精密測定の制限の再考察を行い、過去の論文で公表されている計算の誤りを正した。 2.曲がった余次元模型についての研究 高次元時空に基づく模型の中で、Randall-Sundrum(RS)模型と呼ばれるタイプの5次元模型は平坦な余次元理論とは大きく違う特徴を持ち、現象論的に興味深い。ここでは、RS模型に特徴的なワープ効果に基づき、低いスケールの重力による超対称の破れの媒介機構を持つ模型の構築を行った。これまで議論された4次元超重力模型とは大きく異なる性質を持つこと、これに関連して、超対称性を破る粒子の加速器実験における直検証可能性を指摘した。また、RS模型が予言するKaluza-Klein重力子のLHC実験での生成についての解析を行った。さらに、この粒子の崩壊によるトップクォーク対生成と生成されたトップクォークのスピン相関についても解析を行った。このスピン相関を測ることにより、この重力子と標準模型粒子との相互作用の形態を調べることが可能である。その他、RS模型に基づく超対称大統一模型の構築なども行った。
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Research Products
(6 results)