2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物の共鳴非弾性X線散乱における有効モデルの構築
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18740174
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
筒井 健二 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (80291011)
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Keywords | 共鳴非弾性X線散乱 / 数値的厳密対角化法 / 銅酸化物高温超伝導体 / 不純物置換効果 |
Research Abstract |
本年度では特に銅酸化物高温超伝導体における共鳴非弾性X線散乱の不純物置換効果に対する有効模型の構築を行ってきた.超伝導を担うCu02面のCuをZn元素等の非磁性元素やNi元素等の磁性元素で置換することで,キャリアの運動にどのような影響を与えていくかを見る物である.この置換効果においても高温超伝導物質は特異な振る舞いを示すことが知られており,数多くの実験及び理論的な研究がなされてきた.非磁性不純物Zn元素置換においては単一バンド模型による理論的研究が数多くなされてきた.一方で磁性不純物Ni元素置換効果を考える上で,Niのd8の電子配置では複数のd軌道が関与するため,単純な単一バンド模型での記述は自明でなく,有効模型の考察から始める必要がある.そこで,酸素軌道も取り入れたd-p模型に基づいて磁性・非磁性不純物置換の電子状態に対する効果を数値的厳密対角化法により調べ,その散乱スペクトルの計算を行った.その結果,Zn置換効果としてはこれまでの単一バンドの描像が適切であること,Ni置換効果では置換されたNiサイトの最隣接酸素サイトの軌道にキャリアが束縛されること,そして,その散乱スペクトルがキャリアの束縛の有無を区別できることが理論的に明らかになった.
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