2006 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドバンドギャップ半導体に特徴的な状態の研究とそれを介した光緩和機構の解明
Project/Area Number |
18740175
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水落 憲和 筑波大学, 大学院図書館情報メディア研究科, 講師 (00323311)
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Keywords | 光物性 / 格子欠陥 / 半導体物性 |
Research Abstract |
ワイドギャップ半導体であるダイヤモンドは、短波長発光デバイス材料や量字情報通信・計算素子材料として注目されている。自由励起子状態や深い準位を形成する窒素-空孔複合体などの再結合中心の状態において、ワイドバンドギャップに特徴的な光緩和過程及び機構を明らかにすることは学術的に重要であり、それを有効に利用した素子の実現は社会に大きな影響を与える。 本年度の主な成果としては、以下め2つが挙げられる。 1.マイクロ波プラズマCVD法において、重水素などを用いることによりダイヤモンド単結晶合成条件を変えた試料において、電子スピン共鳴法による欠陥評価及びカソードルミネッセンスを用いた光学的評価を行った。高品質化反応機構に関する知見が得られ、更に、これまで我々が観測していた水素関連欠陥濃度と自由励起子発光強度に相関が得られ、光緩和過程に関する重要な知見が得られた。 2.^<13>Cをドープしたダイヤモンド中の単一窒素-空孔複合体を、共焦点レーザー顕微鏡を用い、シュトゥットガルト大学(ドイツ)及び経済産業省産業技術研究所と共同で研究した。窒素-空孔複合体では、ワイドギャップであることを特徴とする光緩和過程を利用することにより、光照射によってスピン状態の初期化を簡便に行える。今回我々は、光照射による初期化後に、パルス化した電磁波(マイクロ波、ラジオ波)により核スピン及び電子スピンを操作して、2量子ビットから成るBell状態及び3量子ビットからなるGHZ状態呼ばれるエンタングル状態を作り出して観測(光検出)した。これらの観測は固体では初めてで、また、室温で行われた点も特筆すべき点である。また、エンタングル状態のトモグラフィーによる評価により、光照射によるスピン状態の初期化やパルス化した電磁波(マイクロ波、ラジオ波)によるスピン操作が期待通りに行えていることも確認できた。
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Research Products
(6 results)