2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ量子ドットのテラヘルツ物性開拓と単一光子検出器の開発
Project/Area Number |
18740176
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河野 行雄 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 研究員 (90334250)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 量子ドット / テラヘルツ / 光子支援トンネル / 光子サイドバンド / 多光子過程 / 単一光子カウンティング |
Research Abstract |
カーボンナノチューブから作製した量子ドットデバイスを用いて、テラヘルツ電磁波照射下での電気伝導特性を調べた。実験結果から以下の3点が明らかにされた。 1.光子支援トンネルによるテラヘルツ光子サイドバンドの観測 テラヘルツ光の照射によって、クーロン振動のメインピークから外れた場所に新たなサイドピークが発生することが分かった。メインピークとサイドピークの間隔がテラヘルツ光の周波数に比例することから、このサイドピークは、テラヘルツ光子支援トンネルによって電子波の新しい伝導チャネルが発生していることに起因すると結論づけられる。この実験結果は、カーボンナノチューブにおけるテラヘルツ光子サイドバンドの初めての観測例である。 2.テラヘルツ強電場下での多光子過程の観測 照射するテラヘルツ光の強度を強くしていくと、1.で記した1光子による過程以外に、2光子、3光子による電子のトンネル過程が発生することが明らかにされた。理想的には、この発生はテラヘルツ光強度に対してベッセル関数的に振る舞うはずであり、今後は、その詳細な観測を行うつもりである。 3.テラヘルツ光子サイドピークの時間変化-単一光子カウンティング? テラヘルツ光子支援トンネルによって発生するサイドピーク信号の時間変化を観測した。CWのテラヘルツ光を照射しているにもかかわらず、信号がデジタル的にスイッチングすることが分かった。これは単一光子カウンティングに相当すると考えられるが、動作の安定性などで不明な点があり、現在問題点を追求している。将来的にはポイントコンタクト構造を持つ2次元電子ガスを用いて、カーボンナノチューブ量子ドットのテラヘルツ応答を読み取る機構の作製を計画している。
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