2006 Fiscal Year Annual Research Report
Cu(001)表面におけるマンガン窒化物ナノ構造の成長、電子状態と磁性
Project/Area Number |
18740177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中辻 寛 東京大学, 物性研究所, 助手 (80311629)
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Keywords | 表面・界面物性 / 表面ナノ構造 |
Research Abstract |
18年度は、Mn/N/Cu(001)表面、特にマンガン窒化物ナノパッチの周期構造の成長過程と原子構造、電子状態と磁性を、走査トンネル顕微鏡(STM)観察、角度分解光電子分光(ARPES)、X線光電子分光(XPS)、光電子回折(PED)、及び表面磁気光学Kerr効果(SMOKE)測定を用いて調べた。これらの測定には、既存の装置を用いた。STM観察とXPS、ARPES測定から、パッチ構造内のMnと窒素の比率が1:1であることや、表面作製時のアニール温度の違いによる成長過程の違い、MnとNの比率を変えた場合の成長過程を明らかにした。MnNパッチ上にMnを蒸着してアニールすると、最表面に再びMnNパッチが形成され、2層目はCuMn合金になると考えられる。また、MnNパッチ表面由来の価電子帯バンド構造も確認した。これらの結果を現在、論文にまとめている。次に、原子配列の情報を元素選択的に得るため、汎用のX線源を用いたPEDを用いて構造を調べた。Mn 2pやN 1sからのPEDパターンを得たので、今後、多重散乱モデルを用いたシミュレーションと比較を行う予定である。一方、表面磁性については、SMOKE測定で磁化曲線の測定を試みた。実験装置の制約上、液体窒素温度までの冷却と、10mT程度の外部磁場印加までしか行えなかったが、その範囲では、ナノ構造表面は強磁性的な振る舞いを示さなかった。来年度は、さらに低温・強磁場下での軟X線吸収と磁気円二色性測定を、外部の共同利用機関(分子科学研究所など)で行い、強磁性あるいは反強磁性の振る舞いを確認したい。
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