2006 Fiscal Year Annual Research Report
誘電体的性質を強く持つ物質中での金属的キャリアの振る舞い
Project/Area Number |
18740179
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 忠彦 東京工業大学, 火山流体研究センター, 助手 (70313327)
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Keywords | 量子常誘電 / 光伝導 / キャリア特性 |
Research Abstract |
本課題では、申請者がこれまで行ってきた量子常誘電体における光伝導キャリアの特性の研究を発展させて、他の様々な誘電性を強く持つ物質中でのキャリアの特性を調べていこうという目標で実験をスタートした。本年度においては、STO中の光キャリアの伝導特性をパルス電場を用いて調べる事により、量子常誘電体中でのキャリアの易動度の増大メカニズムについて解明を図る事を目的とした。高電場下の量子常誘電相が壊れた領域での光キャリアの易動度は減少しており、この事実は、量子常誘電相において、キャリアの易動度が増大している事を裏付ける実験事実である可能性が高いと考えている。これに対し、ホットエレクトロン機構での解釈も可能である、という指摘もあり、今後の検討が必須である、と考えている。また、本年度は、STO以外にも誘電性とキャリアの特性が物性発現に重要な役割を果たす系として、微少磁性イオンをドープした六方晶BaTiO_3を取り上げ、この系のキャリアの磁性との関連を調べる事を試みようとして、磁気光学効果の測定系の立ち上げを行った。この目的で、ロックインアンプを備品として購入した。この系では、室温から強磁性が出ており、誘電性と関連して興味深い物性が発現する可能性がある。本年度は、測定系の立ち上げについてはほぼ終了し、信頼できるデータが測れるようになった。これを用いて、来年度に集中的な測定を行い、新たな物性発現とそのメカニズムの解明に着手していきたい。
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