2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18740181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 昭 京都大学, 低温物質科学研究センター, 講師(研究機関研究員) (70360633)
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Keywords | 量子ホール効果 / 傾角反強磁性相 / 分数量子ホール効果 / ソリトン格子 / ヒステリシス / 量子輸送現象 / 異方性 |
Research Abstract |
本研究では、半導体2重量子井戸構造における2層2次元電子系を強磁場・超低温下に置いた場合に生じる2層系量子ホール状態において、さまざまなランダウ占有率υについて、新しい量子相が生ずる可能性を探求している。本年度は、次のことについて研究を行い、研究成果の発表を行った。 (1)2層系υ=2量子ホール状態における傾角反強磁性相の研究。本研究では、2層系υ=2量子ホール状態においてさまざまな総電子密度・電子密度差に対し、詳細な活性化エネルギー測定を行い、傾角反強磁性相が存在すること、また傾角反強磁性相が二つの異なった性質を持つ領域に分け得ることをを示した。(2)2層系υ=2量子ホール状態に対する面内磁場の効果。本研究では、2層系υ=2量子ホール状態に面内磁場を印加した場合、傾角反強磁性相が不安定になること、また3重点が存在する可能性を示した。(3)2層系υ=1量子ホール状態におけるソリトン格子相の研究。本研究では、層系υ=1量子ホール状態におけるソリトン格子相をさまざまな面内磁場・総電子密度に対して調べ、ソリトン格子相の安定性の議論を行った。(4)2層系υ=2/3分数量子ホール状態における異方的電気伝導の研究。本研究では、2層系υ=2/3分数量子ホール状態において、異方的な電気伝導を観測し、これが2層系特有の層の自由度である"擬スピン自由度"に起因することを解明した。(5)1層系υ=2/3分数量子ホール状態における異方的電気伝導の研究。1層系υ=2/3分数量子ホール状態においては、スピン相転移に関連するヒステリシス現象が報告されているが、このヒステリシス現象に対しても、異方的な振る舞いをすることを見出した。これは、面内磁場によりスピンのドメイン構造が形成されていることを示唆することを報告した。
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Research Products
(7 results)