2006 Fiscal Year Annual Research Report
全反射テラヘルツ時間領域分光を用いたジョセフソン接合構造の位相ゆらぎの研究
Project/Area Number |
18740182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 隆典 京都大学, 次世代開拓研究ユニット, 助手 (30402762)
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Keywords | テラヘルツ / 時間領域分光 / 全反射減衰法 / 高温超伝導体 / ジョセフソンプラズマ / 表面電磁波 |
Research Abstract |
層状酸化物高温超伝導体ジョセフソンプラズマを用いて、テラヘルツ周波数領域の強力な電磁波発生に対する知見を得るために、低温テラヘルツ時間領域全反射分光測定系の構築を目指している。クライオスタットにおいて低温環境下に超伝導体試料とプリズムを導入し、外部から光学窓を通してテラヘルツ光をプリズムおよび試料に照射する。本年度は、テラヘルツ光が通過する光学窓数を減らすため、テラヘルツの発生と検出の測定系をクライオスタットの断熱真空槽に構築した。常温常圧仕様の測定系と比べた場合、以下のような工夫が成されている。表面吸着分子による真空度の悪化を防ぐために、すべての光学素子および光学支持パーツの表面処理は行わず、加工されていないステンレスまたはアルミの材質を用いた。充分広い表面積がある部分はパフ研磨を施した。光学素子の可動部には、潤滑油として真空状態でも使用できるアピエゾングリスを用いた。光学素子のねじ穴部分に横方向から小さい穴を貫通させ、空気を容易に廃棄できるようにした。このように、測定系を断熱真空槽に構築することによって、空気中の水蒸気によるテラヘルツ信号の吸収効果を速やかに除去することができた。通常、水蒸気を除去するためには窒素パージを一晩行う必要がある。本研究で構築した装置は真空に引いてから5分後に、水蒸気による吸収信号の消失を確認した。また、クライオスタットの断熱真空槽に系を構築したことで、テラヘルツ光が通過する光学窓数を減らすことができ、テラヘルツ信号の吸収を防ぐことができる。現在は、超伝導体試料とプリズムを低温環境下で遠隔操作する系の考案および設計を行っている段階である。
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