2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740184
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
飯田 琢也 大阪府立大学, 工学研究科, 客員研究員 (10405350)
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Keywords | 光物性 / 物性理論 / 走査プローブ顕微鏡 / 量子ドット / ナノ材料 |
Research Abstract |
光誘起力を利用したナノ物質中量子状態の観測技術の可能性を探索する第一歩として、本年度は共鳴光照射下でプローブとナノ構造体の間に誘起される粒子間輻射力の配置依存性や光源の条件に対する依存性を理論的手法により調べた。特に、1)観測対象が持つ量子力学的構造の抽出可能性の探索とその分解能、S/N比等の評価2)任意形状のナノ物質中に閉じ込められた電子系波動関数の計算手法の開発などに着目して研究を実施した。 1)励起子を閉じ込めた量子ドット(QD)をプローブおよび試料とみなし、その間に生じる粒子間輻射力の光周波数スペクトルと、プローブQDを試料QDの上部で水平走査した際に得られる実空間マップの間の関係を、ローレンツカの方程式から導出した輻射力の解析的表式をベースとした数値計算により系統的に調べた。特に、プローブー試料間に形成される電磁気学的結合状態に対応するピーク周波数の光で励起すると、各励起状態の対称性を反映した特徴的なマップが得られることが分かった。また、水平空間分解能はプローブ半径とほぼ同じことも分かって来た。S/N比に関しては環境等の条件も加味した考察が必要であり完全な理解には至っていないが、本研究で得られた粒子間輻射力は常識的な励起光強度でもフェムト(10-15)Nオーダーであり、力学的顕微鏡の検出限界であるアト(10-18)Nより十分大きな値が得られており、実験系の工夫により観測可能と期待される。 2)隣接サイト間の相互作用が双極子相互作用で取り扱える場合について、様々な形状のナノ物質やその配列構造とプローブの間に誘起される粒子間輻射力を評価できる計算手法の基礎を構築した。この手法を用いれば、様々な対称性を持つ集団励起状態の多準位効果まで含めて粒子間輻射力の性質を評価でき、現在、量子ドット配列構造中や有機高分子配列構造中における励起状態の波動関数の観測可能性を探っている。
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