2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小嶋 健児 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (60302759)
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Keywords | 高温超伝導 / ジョセフソン接合 / 磁気光学効果 / テラヘルツ / 積層構造 / イットリウム系高温超伝導体 / ビスマス系高温超伝導体 / 水銀系高温超伝導体 |
Research Abstract |
本年度の目標として、外部磁場をCuO2面に平行または、垂直に印加した光学測定を行なうべく、イットリウム系に比べて50%高い超伝導転移温度Tc, 2倍以上高い光学活性ジョセフソンプラズマモードエネルギーを持つ水銀系高温超伝導体に関して単結晶育成を目指した。その結果、CuO2面が結晶格子に1層ある物質だけが成功した。結晶の対称性上、光学活性ジョセフソンプラズマモードが存在するためには、結晶格子に2層以上のCuO2面が必要であるが、それら物質の単結晶育成は条件が微妙で、光学測定の可能な程度の大きさ、厚さを持った単結晶を得ることができなかった。 一方、水銀系高温超伝導体の多結晶試料においても、測定上の工夫によって、外部磁場成分がCuO2面内に多い場合とCuO2面垂直に多い場合の光学応答を比較することができるようになった。その結果、結晶格子に3枚のCuO2面が存在する物質の水銀系の光学活性ジョセフソンプラズマモードは、そのエネルギーが800cm-1と大きいにもかかわらず、高々7テスラの磁場で大きく抑制されることが分かった。抑制の程度は、外部磁場成分がCuO2面に垂直な場合の方が大きく、その振動子強度は超伝導ギャップ内に分配され、イットリウム系高温超伝導体のように特定の磁場誘起モードが形成されるわけではないことが明らかになった。発光を目指している低エネルギーの平行磁場誘起光学モードの有無は、磁場によって導入されたジョセフソン磁束のピン止めなど、各物質の細かい性質に依存していることが示唆された。 本年度はまた、マイクロ波分光で発光が報告されている、ビスマス系高温超伝導体に関して、そのTcが最高になる条件を模索した。CuO2面外の乱れがTcに効いていることが示され、通常96K程度であるTcを98.5Kまで改善することができた。このTcの改善と発光強度の関連に興味が持たれる。
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Research Products
(1 results)