2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 真仁 東京大学, 大学院工学系研究所, 助手 (40334346)
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Keywords | Ce化合物 / γ-α転移 / 価数転移 / 量子臨界点 / 1次転移 / 近藤状態 / 混合原子価状態 / 相分離 |
Research Abstract |
圧力下のCeCu_2Ce_2やCeCu_2Si_2において、Ceの価数の変化が顕著な領域で超伝導転移温度が最大値をもつことが観測されており、価数のゆらぎと超伝導発現機構の関係に関心が高まっている。 今年度は、量子縮退領域における価数転移の性質とその臨界点近傍の電子状態の性質を明らかにするため、f電子と伝導電子間の斥力U_<fc>をとりいれた1次元周期アンダーソン模型に平均場近似、及び密度行列数値繰り込み群(DMRG)法を適用して基底状態の性質を調べた。 その結果、平均場近似では価数の1次転移とともに相分離が生じるのに対し、DMRG法では価数の1次転移は生じるが、相分離は生じないことがわかった。つまり、量子ゆらぎと電子相関の効果によって相分離は実現せず、Knodo状態からMixed Valence状態へのクロスオーバーが強く安定化されることがわかった。このゆらぎの強い、シャープな価数クロスオーバー近傍のKondo状態で超伝導相関が発達するが、これは電荷速度が増大することによるものであり、朝永ラッティンジャーパラメータK_0>1を示す既存の模型に共通な、電荷圧縮率の増大を起源としない点で、特筆すべき結果である。価数の感受率が増大するにもかかわらず全電荷の圧縮率が増大しない理由は、全電荷の相関関数のうちf電子と伝導電子に対して対角的、非対角的な項の主要項の符号が反対であるために互いに相殺しあうことによる。このことからこの系の超伝導の起源は、電子の有効バンド幅が増大することにより、価数ゆらぎをもつ電子のコヒーレンスが増大したことによると考えられる。価数転移について、γ-α転移を起こすCe金属と異なり、Ce化合物で1次転移が起きにくい理由は、化合物ではU_<fc>が小さくなるためと考えられる。 また、熱力学関係式を解析的に導出することにより、価数転移のf電子の跳びの最大値が空間次元によらず2n-1(nは全電子のフィリング)で表されることを示すことができる。これより、 (1)配位数zU_<fc>が大きい(zは配位数) (2)フェルミ面にかかっているバンド全体の占有数の大きい Ce化合物で1次の価数転移が実現する可能性が高いことが指摘される。
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Research Products
(2 results)