2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 真仁 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (40334346)
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Keywords | 価数転移 / 磁場誘起 / 量子臨界点 / メタ磁性 / 価数ゆらぎ |
Research Abstract |
Ce化合物やYb化合物で顕著にみられるCeやYbの価数ゆらぎは、本質的にf電子と伝導電子の相対的な電荷のゆらぎであり、それが磁場によってどのように制御されるのか、その機構を明らかにした。磁場により1次の価数転移の臨界終点が絶対零度まで抑制され、量子臨界点が出現することを示した。さらに、基底状態の相図中で、量子臨界点が非単調な磁場依存性を示すことを見出した。これは価数転移の臨界点が磁場によって誘起されることを示しており、その起源は、ゼーマン効果と近藤効果の協調効果によって引き起こされることを明らかにした。この機構は、これまで謎とされていたCeIrIn_5の磁場誘起臨界現象やYbInCu_4のメタ磁性を自然に説明するとともに、YbXCu_4のX=AgとX=Cdが同程度の近藤温度をもつにもかかわらず、何故Agのみにメタ磁性が生じるのか、その理由を説明する。すなわち、系の特徴的エネルギースケールとして、近藤温度のほかに価数転移の量子臨界点への近さを表すもう一つのエネルギースケールが存在し、その近さによって磁場誘起臨界点のしみ出しの効果に違いが生じることを意味しており、異なる磁場応答を引き起こす原因であることを明らかにした。これは、価数揺動物質の温度-圧力-磁場相図を理解する上で普遍的な結果であり、これまで謎とされてきた様々な物質の物性異常の背後にある機構として重要な結果である。
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Research Products
(3 results)