2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 隆祐 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60302824)
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Keywords | 一軸性延伸法 / 有機導体 / 有機超導体 / 電子物性 / 構造物性 |
Research Abstract |
試料の形状に囚われずに、有機導体のような柔らかい結晶に一軸的な引っ張り(延伸)を印加するための方法の開発を行った。今年度は、I)考案した方法で実際に引っ張れるのか、引っ張れるとしたらどの程度の延伸を印加できるのか、II)低温に下げたときにどのような問題・効果が現れるのか、III)どのような試料に対して一軸延伸法の効果が大きいのか、の3点に関して研究を行った。 I)に関しては、室温において1%以上の延伸を印加できることが判明した。また、エポキシロッドの表面に張ったひずみゲージと中に入れた場合の比較により、ひずみゲージの使用法によるゲージ率の変化に関する情報も得る事ができた。 II)に関しては、エポキシロッドとその周りのステンレスリングの熱収縮の量の違いから、室温から低温に下げると、自然に引っ張りが印加されてしまうことが判明した。また、低温において、引っ張りを加えた場合、エポキシロッドの硬化によって印加できる引っ張り量が小さくなることも見出された。 III)に関しては、NbSe_3および擬一次元超伝導体TMTSF_2X(X=PF_6,CIO_4)に対してこの方法を適用し、NbSe_3については先行研究と同様な結果を得ると共に、これまで引っ張れなかった方向に延伸を印加した場合の物性変化に関する情報も得ることができた。TMTSF_2Xに関しては、分子の一次元鎖に平行と垂直方向に引っ張りを加え、平行では物性の変化は小さいが、垂直方向に印加した場合には絶縁体的な振る舞いが誘起されることを見出した。これに関しては、もう少し多種の試料を試す必要があると考えられ、次年度も探索を続ける予定である。
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