2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740200
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
葛西 伸哉 京都大学, 化学研究所, 助手 (20378855)
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Keywords | 微小強磁性体 / スピントロニクス / 電流誘起共鳴現象 / スピントランスファー効果 / 磁気渦構造 |
Research Abstract |
強磁性体の磁化を電流によって制御することは、ナノスピントロニクスデバイスを実現する上で重要な鍵となる。その物理的な起源は、強磁性体中のスピン偏極した伝導電子と局在モーメントの相互作用、いわゆるスピントランスファー効果であり、この効果は空間的に磁気モーメントのねじれた系に電流を流すことによって作用する。 磁気渦構造は微小強磁性円盤に現れる特徴的な磁区構造であり、円盤の中心に磁気モーメントの立ち上がった領域、いわゆる吹き出し磁化を形成する。磁気渦構造に現れる吹き出し磁化は、空間的に非常に急峻なねじれを有する構造であり、スピントランスファー効果が有効に作用する系の一つであるとして、最近注目を集めつつある。 本研究では、磁気渦構造に対して交流電流を印加することによって、渦中心の運動のひとつであるTranslational Modeを共鳴的に励起できることを数値的、実験的に確認することに成功した。さらに交流電流強度を増加させることによって、渦中心の極性を変化させることに成功した。以上の成果はPhysical Review Letter、Journal of Magnetism and Magnetic Materials, Nature Materialsの三誌に掲載された。 本研究の特筆すべき点としては、新奇現象の発見に加え、従来得られなかった理論との整合性の確認をすることができたという点を挙げることができる。本研究で得られた結果は、磁気円盤にとどまらず、様々な磁区構造を舞台とした新奇現象の発見および理解を行う上で重要な指針となると考えられる。
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