2006 Fiscal Year Annual Research Report
反転対称を持たない強磁性体UIrで観測される圧力誘起超伝導の対称性の解明
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18740203
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤澤 輝彦 神戸大学, 海事科学部, 助教授 (30346291)
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Keywords | UIr / 超伝導 / 空間反転対称性の破れ / 時間反転対称性の破れ / 強磁性 |
Research Abstract |
我々のグループがUIrで発見した圧力誘起超伝導の対称性を実験的に明らかにすることを目的に研究を行っている.本年度の成果は以下の3点である. 1)Irの超伝導転移温度T_Cの圧力依存性を電気抵抗率により3.0GPaまで測定した.IrのT_Cは加圧とともに減少するが,3.0GPaでも超伝導転移が観測された.したがって,UIrの超伝導は,Irの超伝導とは全く異なるものであることが実験的に証明できたと考えられる.また,異なったインゴットから切り出されたUIr単結品試料を用い[101]方向の電気抵抗率を測定した.残留抵抗比が200を超える試料であれば,2.6〜2.7G%付近で超伝導が再現性良く観測できる.また,電気抵抗率測定により,UIrのT_Cの詳細な圧力依存性を明らかにした.この結果は,磁化率で決定した圧力中での超伝導相図とよく一致する.以上のことから雌伝導は,試料の本質であると結論できる. 2)最も超伝導転移温度の高い圧力(2.7GPa)で,[101]方向の電気抵抗率測定より,超伝導上部臨界磁場H_<C2>の異方性を見積もった.[101],[101,[010]の方向の見積ったH_<C2>(0)の値は,それぞれ27m T,43 mT,32 mTであった.容易磁化軸方向である[101]と比べ,[101]方向のH_<C2>(0)は1.6倍大きくなることから,異方的なフェルミ面が超伝導を担っていると考えられる. 3)Spring-8で構造変化に関する知見を得るための予備実験を行った.ダイヤモンドアンビルセルに微小な単結品'封入し,室温で3.5GPaまで加圧を行い,X線透過ラウエスポットを観測した.使用ビームライン(BL10XU)の制約上ほぼ単色のX線を用いた実験となったが,観測されたラウエスポットに加圧に伴う分裂や消失はみられなかった.このことは実験の粘度内で結品構造が大きく変化していないことを示している.より精度の高い構造解析実験を行うには,単結晶をどのような配置でどのように実験を行うべきか実験方法の改良について現在考察中である.
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Research Products
(3 results)