2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740223
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
斎藤 政通 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 基礎科学特別研究員 (70415165)
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Keywords | 超流動^3He / ジョセフソン効果 / ジョセフソン振動 / ヘリウム / 超流動 / P波超流動 |
Research Abstract |
超流動^3Heでのジョセフソン効果は、細孔で接続された2つの容器を用いる手法で確認されている。本研究では、これを平面展開型のくし型電極上で実現することで、位相制御、幾何学的形状、超流動相の選択においてより自由度の高い制御を行い、巨視的量子トンネル現象やアンドレーエフ束縛状態など、ジョセフソン効果と密接に関連した重要な現象の解明への進展を目的としている。 くし型電極は、2つの微細な櫛状の電極によりガラス基板上に形成された平面展開型コンデンサーである。2つの上下に隣接したくし型電極を、バルクの超流動^3Heの液面に対し垂直に設置し、下側電極の一部分のみバルク液面下となる配置にする。この配置にすることで、電極間への印加電圧により、誘電体である液体^3Heの吸着量をコントロールすることができる。この吸着量は、バルク液面と電極上で化学ポテンシャルが一定となる条件で平衡の値が決定されるが、上下2対の電極への印加電圧の調整により、上側電極とバルク液の間に化学ポテンシャルの差を設けることができる。したがって、超流動-常流動-超流動の配置が、バルク液-下側電極-上側電極の位置で形成されるとき、化学ポテンシャル差に比例した振動数でのジョセフソン振動が現れると考えられる。 およそ10kHz程度のジョセフソン振動が予測され、これまでに1k〜1MHzの範囲で実験を行ったが、検出には至らなかった。原因として、常流動領域が大きく、ウィークリンクが形成されなかったことが考えられる。この対策として、バルク液面高さを精密に制御できる機構の実験容器内への設置を行っている。液面位置を調整することで、より狭い常流動領域の形成が可能であり、現在実験を進めている。
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