2007 Fiscal Year Annual Research Report
大規模電子構造計算によるナノ金属系の変形プロセスと電気伝導
Project/Area Number |
18740228
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
星 健夫 Tottori University, 工学部, 准教授 (80272384)
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Keywords | ナノ金属 / 構造変化プロセス / 電気伝導 / 大規模電子構造計算 / ヘリカル金多層ナノワイヤ / 非平衡グリーン関数 |
Research Abstract |
ナノ金属系、とくに数nm系、の変形プロセスと電気伝導は、表面(最外殻)領域と内側領域との原子数が比較できる程度となり、バルク系や単原子ワイヤ系と全くことなる多彩な構造と物性を示す。その理解と制御には、電子構造計算に基づく動的(分子動力学)計算が必須である。本研究の本年度の主な研究成果として、多層へリカル金ナノワイヤの形成プロセスについて、2段階モデルを提案し、スレーターコスター型ハミルトニアンによる電子構造を用いた分子動力学シミュレーションによって確認した。多層ヘリカル金ナノワイヤでは、「マジックナンバー」と呼ばれる数で特徴付けられる、限られた多層構造だけが観測されており、その理論的解明は未解決となっていた。我々は、(i) 最外シェルが分離し(内側シェル原子との結合が弱くなり)、(ii) 最外シェル(ワイヤ表面)において原子列スリップが起こり2次元hexagonal 構造が出現する、という2段階モデルを提案し、この理論モデルと動的(電子構造を用いた分子動力学)計算により、マジックナンバーが系統的に理解された。電子構造の解析から、dバンドの大きい5d金属系に特有の現象であることが示された。さらに、10nm以上の長さをもつ系では、原子の内側原子が最外殻に移動する現象がみられ、ヘリカル構造の起点となることを示した。また、電気伝導計算としては、非平衡グリーン関数理論における固有チャネル分解の一般化を用いて、ナノ金属系における減衰伝導モードおよび、d軌道成分系の振る舞いを解析した。本研究の意義として、大規模電子構造計算を用いることで、構造と電子物性とを同時に(同じ理論基盤において)議論することができるようになったことがあげられ、ナノ系における種々の実験と相補的に用いることにより、ナノ科学の発展に大きな寄与をするものと期待できる。
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Research Products
(13 results)