2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北畑 裕之 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (20378532)
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Keywords | 分子機械 / Marangoni効果 / 界面張力 / エネルギー変換 / 自発運動 / 反応拡散系 / BZ反応 |
Research Abstract |
従来、界面現象に関しては、平衡論の枠組みで界面張力の影響が考慮されることがほとんどであった。しかしながらこれまでの実験結果などを考察すると、時間変化する濃度勾配があるとき、平衡系での界面張力の概念を超えた理論的枠組みを考える必要性が示唆された。そこで、(1)界面張力が時間変化する実験系のデザインおよび観察、(2)非平衡系における界面現象の物理モデル構築、(3)モデルに基づいた数値計算と実験結果の比較の3つの方法論を同時に進めていくことによって、非平衡系における界面現象のダイナミクスについて統合的な理解を進め、その根源に潜む物理の解明を目指すことを目的として研究を進めている。 その結果、本年度は次にあげるような成果が得られた。 ・2種類の化学物質を拡散によりゆっくりと反応、結晶化させたとき、ダンベル状の構造やネットワーク状の構造をした結晶が観察された。このような現象に関する数理モデルを、結晶面により反応性と表面張力が異なることを考慮してモデリングし、その定性的な部分を再現することができた。 ・化学振動反応であるBZ反応は、その物質の濃度の振動とカップルして界面張力が振動することが知られている。この現象により、センチメートルスケールで物体を輸送することが可能になることを明らかにした。さらには、どのような流れが重要であるのかを調べるため、数理モデルを構築し、数値計算を行うことによってその流れのプロファイルと物体の動きを比較、考察した。
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