2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740232
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田畑 吉計 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (00343244)
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Keywords | 重い電子 / 量子相転移 / 臨界現象 / 量子多重臨界点 / SDW QCP / locally critical QCP |
Research Abstract |
本課題は、現在固体物理のホットな話題となっている重い電子系の量子相転移の臨界現象に関する研究である。重い電子の量子臨界点(QCP)には、SDW QCPとlocally-critical QCPの2種類が存在することが指摘されており、典型的な重い電子系であるCe(Ru1-xRhx)2Si2の量子相転移のユニバーサリティクラスがSDW QCPであることを確定するのが主たる目的である。本年度は、臨界濃度近傍の試料を10個作成し、1.8Kまでの測定により、おおよその臨界濃度近傍のxT相図を作成した。その結果、臨界濃度はx=0.045とx=0.05の間に位置し、反強磁性転移点はその間で急激に減少することが分かった。さらに、来年度以降の1K以下の極低温下での電気抵抗測定のために、ロックインアンプを購入し、微小電流による抵抗測定の測定系の作成など、その準備を行った。また、CeRu2Si2はSi-siteをGeで置換するとq1相、Ru-siteをRhで置換するとq3相と異なる反強磁性相が現れるため、Rh濃度、Ge濃度をうまく調整すると常磁性フェルミ液体相とq1相、q3相とが接する量子多重臨界点が現れることが期待できる。量子多重臨界挙動は、重い電子におけるlocally-critical QCPの発現機構の候補の一つであり、非常に興味深い。そこで、この量子多重臨界点の探索のための試料作りも行った。具体的には、Ce(Ru1-xRhx)2(Si1-yGey)2系で、Rh濃度がx=0.000,0.015,0.030の3種類の系に対し、Ge濃度yを0.10まで置換した試料(計16個)を作成し、118Kまでの測定でxy相図を作成した。その結果、x=0.000,0.015,0.030でそれぞれy>0.08,y>0.06,y>0.025で反強磁性相が現れることが分かった。さらに、その磁化過程からx=0.000,0.015で現れる反強磁性相はq1相、x=0.030で現れる反強磁性相はq3相であることが分かった。また、x=0.100に対するGe置換の実験から、q3相からq1相の転移は一次相転移であることが分かっており、これらを総合すると、(x,y)=(0.02,0.07)付近に量子二重臨界点が存在することが分かった。
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