2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田畑 吉計 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (00343244)
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Keywords | 重い電子 / 量子相転移 / 臨界現象 / 量子多重臨界点 / SDW QCP / locally critical QCP |
Research Abstract |
本課題は、現在固体物理のホットな話題となっている重い電子系の量子相転移の臨界現象に関する研究である。重い電子の量子臨界点(QCP)には、SDW QCPとlocally-critical QCPの2種類が存在することが指摘されており、典型的な重い電子系であるCe(Rul-xRhx)2Si2の量子相転移のユニバーサリティクラスを調べることが主たる目的である。本年度は、QCP近傍の濃度の(磁気秩序領域の)多数の試料(主に、H18年度に作製)の帯磁率測定を行い、その反強磁性転移点の濃度依存性がSDW QCPの理論の予測とは異なることを見いだした。これは、常磁性領域の(中性子非弾性散乱実験から明らかにされた)臨界現象がSDW QCPの理論と良く一致する、という結果と対照的であり、非常に興味深い。さらに、重い電子系でのlocally critical QCPの発現機構が、スピンゆらぎの有効次元低下にある、という理論的なスペキュレーションを実験的に調べることを目的に、Ce(Rul-xRhx)2(Si1-yGey)2(CRRSG)系の中性子散乱実験を行った。この系は、2つの異なる反強磁性相(それぞれ、磁気波数ベクトルq1,q3で表される、q1相とq3相)が存在し、それらと常磁性フェルミ液体相の3相がぶつかる量子多重臨界点が存在する事が予想され、そこでは低次元的なスピンゆらぎが出現することが期待される。今年度行った中性子散乱実験の結果を基に、詳しいxy粗図を作成した結果、CRRSGには(q1,q3の両方で表される)double-q構造をもつ第3の反強磁性相(double-q相)が存在することが分かった。そして、量子多重臨界点はこれまで考えていた様に、q1相、q3相、フェルミ液体相、の3相の間にあるのではなく、今回発見したdouble-q相とq3相、フェルミ液体相の3相がぶつかる濃度((x,y)=(0.01,0.07)近傍)にあり、それはおそらく、量子三重臨界点であること、などが分かった。
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