2008 Fiscal Year Annual Research Report
ノボトニー法による高次元系の転送行列の構成と応用-DMRG的な利点を高次元系へ-
Project/Area Number |
18740234
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 由弘 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (60294401)
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Keywords | イジング模型 / スクーリング / 臨界現象 / ランチョス法 / 対角化 / 相転移 / 高次元 / ノボトニー法 |
Research Abstract |
本年度は、方法論を最大限に一般化すべく、ノボトニー法の量子XY模型への適用を成し遂げた。また、ノボトニー法の利点を最大限発揮する問題として、三次元イジング模型のマグノンの束縛エネルギーを計算した。 1. 量子XY模型は、非対角要素にその連続的対称性の破れの起源を持ち、十分に、量子的性質を持っている。この取扱いを可能たらしめることは、重要な研究目的であった。さらに、連続的な対称性を持っているので、今までとは、明らかな方法論の深化と進化を必要とする。私は、ノボトニーのオリジナルアイデアを基にして、その、数学的フォーマリズムを自然に一般化し、しかし、計算物理的には、非常にタフな要求をする形式へと漂着した。これにより、方法論的には、完結した。それに加え、その具体的な計算デモストレーションを行った。実際、臨界指数を計算したところ、その計算の信頼性を裏書する結果を得た。これにより、本研究手法の汎用性を、十全に例証したのである。 2. 一方、本研究手法により、オリジナルな結果を模索した。本研究手法は、モンテカルロとは対照的に、スペクトルの情報を緻密にもたらす。よって、その利点を最大に発揮する問題として、いわゆる三次元イジング模型のマグノンの束縛エネルギーを計算した。臨界点近傍で、きわめて精密なスケーリング解析に耐え、ユニバーサルな振る舞いをもたらしてくれた。マグノンの束縛エネルギーは1.83である。この結果は、他の方法では、得難い上に、その信頼性も担保しがたい。よって、本研究により、私のアプローチが、十分に汎用性を持ち、かつ、未知の問題に、自信を持って立ち向かえるということを、明確に、デモストレーションできたことになる。
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