2006 Fiscal Year Annual Research Report
構成的方法による異方的超伝導の発現機構に関する研究
Project/Area Number |
18740243
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 彰則 有明工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (80274512)
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Keywords | 物性基礎論 / 強相関電子系 / 数理物理 / 低温物性 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体はホールドープされたモット絶縁体して捉えることができ,ドープされたホールはZhang-Rice singletを形成していると広く認識されているが,今回このZhang-Rice singletを基にd波pairing状態を構成し、その性質について調べた.まず,このpairing状態がresonating-valence-bond状態として表現されることなどを示した.つぎに,超伝導オーダーパラメータμのホール濃度δ依存性を調べ,μのupper boundが,δ=0,1で0,δ=0.5で最大値となるドーム構造となることを示した。また,μのlower boundを計算し,δ>8/9に対してμは有限値をとることを示した.さらに,このpairing状態が基底状態となるような,斥力相互作用とある種の反強磁性相互作用をもつHamiltonianを構成し,具体的模型上で,d波超伝導状態が再現されることを厳密に示した.(得られた結果は論文としてまとめ現在投稿中である.arXiv:0704.3610も参照.) 異方的超伝導現象を理解するためには,Hubbard model等の強相関電子系が示す様々な現象に関する知見もまた深めておく必要がある.強相関電子系における長年の問題として金属強磁性の問題が挙げられるが,今回,構成的観点からの考察を行い,Hubbard modelが強相関極限で金属強磁性基底状態をもつことを厳密に示した.(学習院大学、田崎氏との共同研究.結果はPhysical Review Letters 98,116402(2007)に掲載.)
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Research Products
(1 results)