2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 豊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00345076)
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Keywords | 量子エレクトロニクス / フォトニック結晶 / 微小共振器 |
Research Abstract |
研究初年度の平成18年度は、主に単一原子検出を行うためのフォトニック結晶(PC)共振器の設計及び数値シュミレーションによる性能評価を行った。 これまでに開発されてきたPC共振器でも単一原子検出を行うには十分な性能があるものの、これらはPC基板の媒質内で共振器内電場が最大になるように設計されていた。これは自由空間中に存在する気体原子と相互作用させる用途では明らかな欠点となる。そこで我々は既存の共振器に微小幅のスリットを空けた、新しいPC共振器のデザインを考案した。この共振器は、スリット導入前とほぼ同じモード体積を持ち、さらにスリット内で媒質の誘電率の不連続性に起因する局所電場増強効果によって、光電場が増強されるという特徴を持つ。これは従来の共振器よりも強い相互作用を実現できるため、単一原子検出実験を行う際には有利であると考えられる。またスリット内まで原子が進入できるため、強結合領域で実験を行うための空間領域を従来の共振器よりも2倍程度広げることができた。この設計に関して、現在投稿論文を準備中である。 また、真空ガラスセル中に設置したPC共振器へプローブ光を導入するための方法を幾つか比較検討した。その結果、太さを500nm程度まで細く引き延ばした光ファイバーを用いてエバネッセント光でPC共振器と結合する方法が有力であると結論付けた。このファイバーは平成19年度の研究で実験に使用する予定である。
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