2006 Fiscal Year Annual Research Report
中性原子系における超流動状態とモット絶縁体転移の解明
Project/Area Number |
18740251
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
木村 敬 神奈川大学, 理学部情報科学科, 専任講師 (30386809)
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Keywords | 低音物性 / 物性理論 / 原子・分子物理 / 超流動 / モット絶縁体 |
Research Abstract |
レーザー光で作成される光格子に閉じ込められた磁場中の反強磁性スピン1のボーズ原子系の超流動-モット絶縁体転移を、ハバードモデルを仮定し、摂動を用いない平均場近似に対応するグッツウィラー近似で解析した。この近似法は無限大次元で厳密になり、3次元などの高次元では良い近似となっていることが予想される。全く同じモデルに対して以前、摂動的平均場近似による先行研究がなされたが、それは転移の次数としては2次のみを仮定する近似となっていた。その結果先行研究では、例えば磁場を有限の値からゼロに近づける極限と、最初から磁場をゼロと仮定したときの相境界が異なるなど、磁場の関数として不連続な相境界曲線が得られていた。一方我々の解析法は、転移の次数を仮定せずに行うことが出来る。実際に相境界の多くの場所で1次転移が生じることが分かり、より自然な磁場の関数として連続的な相境界曲線が得られた。また超流動相が先行研究より広範な領域で基底状態となることも分かった。さらに、磁場を変化させて相境界曲線を見た際に、同一の原子数をもち、スピンが2だけ異なる2つのモット絶縁体状態が縮退する磁場の周りで、一次相転移に起因した鋭いカスプ構造が現れることが分かった。また、我々は超流動相の性質についても解析した。その結果超流動相は、モット絶縁体相に若干の超流動成分を加えることによって得られる"摂動的"超流動相と、異なる状態を多くコヒーレントに重ね合わせてつくられ、特定の原子数・スピン確定状態を多く含むことのない、"非摂動的"超流動相の二種類に分けられることが分かった。
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