2006 Fiscal Year Annual Research Report
筋フィラメント長制御機構の1分子ナノ解析 -筋タンパク質動態の可視化-
Project/Area Number |
18740257
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 英明 東北大学, 先進医工学研究機構, 助手 (50318804)
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Keywords | 筋肉 / サルコメア / C2C12 / インテグリン / タリン / アクチニン / カルシウム振動 / イメージング |
Research Abstract |
横紋筋は細いフィラメントと太いフィラメントが交互に並んだ規則的な高次構造を持っており、この構造が筋肉の効率的な収縮・力発生に大きく寄与している。培養筋細胞を用いた研究から、この複雑なサルコメア構造の形成と発達には自発的にゆっくりと繰り返される細胞内Ca^<2+>濃度の反復上昇(Ca^<2+>振動)が重要な役割を果たしていることが示唆されているが、その詳細は不明である。そこで、本研究では培養筋芽細胞株(C2C12細胞)を用い、電気的脱分極刺激によってCa^<2+>振動を人為的にコントロールして、サルコメア構造の形成とそれに伴う収縮能力獲得におよぼすその影響について調べた。C2C12筋管細胞を定法に従った低血清状態で分化させても、各種筋構造蛋白群が十分に発現しているにもかかわらず、サルコメア構造は未熟で収縮能力は全く認められなかった。一方、1Hzの電気パルス刺激を負荷すると、刺激に反応して活発に収縮活動を開始する筋管細胞が約1時間後から多数認められ、2時間後においてその刺激依存性の収縮活動量は最大値となった。その収縮運動能力の獲得に必要な時間は、刺激の周波数に依存しており、0.1Hzの遅い周期の刺激では動き出すまでにより長い時間を必要とした。この分子メカニズムを探るため蛍光顕微鏡による観察を試みたところ、電気刺激による初期サルコメア構造にはα-アクチニン分子と共にインテグリン分子やタリン分子が局在していることが判明した。詳細な検討の結果、サルコメア構造形成にはCa^<2+>によって活性化されたカルパイン分子によるタリン切断が必須であり、インテグリンβ1-タリン-αアクチニン複合体からなる初期サルコメア構造が成熟したサルコメア構造へと発達するうえで欠かせない事が明らかとなった。
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