2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山上 達也 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (80376491)
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Keywords | イオン液体ゲル / 3次元極電 / 高分子構造・物性 / ナノ材料 / シミュレーション工学 |
Research Abstract |
H18年度、(BMI,HMI,OMI)BF4の4種類のイミダゾリウム系のイオン液体について、イオン液体ゲルとカーボンナノチューブを用いた電極の2層構造のアクチュエータを作成し、陰極と陽極の各々の曲げを独立に計る事に成功し、イオン液体ゲルアクチュエータの動作原理における静電効果とイオン体積効果の各々の効果を測定した。陰極、陽極の各々でイオン体積効果による非対称な膨張と収縮、カーボン表面へのイオンの吸着と静電効果による対称な電極の膨張が得られた。2つの電極層にイオン液体ゲルを挟んだ3層構造の空中動作するアクチュエータでは、陰極と陽極で非対称なイオン体積効果が屈曲のメカニズムで支配的な事を見いだした。これらの成果に引き続き、H19年度は、電場を与えて屈曲を得るアクチュエータの代わりに、屈曲をイオン液体ゲルに与える事でゲル表面に電位差が現れる事を実験的に確かめ、同デバイスがセンサーとして使用出来ることを確認した。また、これらの実験結果を受けて、モデル化とシミュレーションへの取り組みとして、電場と曲げの圧力により生じるゲルの緩和を含めたイオン輸送と電流、イオン輸送とイオン体積効果により生じる曲げを相互にカップリングしたイオン液体ゲルのバルクダイナミクスのシミュレーションを構築し、電場を与えた際のアクチュエータの屈曲挙動の実験結果を再現した。電極界面へのイオンの吸着による界面応力のモデルを加える事で、2層アクチュエータの屈曲挙動も再現する。また、センサーのシミュレーションとして、イオン液体ゲルに曲げを与えた場合の電流挙動を解析した。本研究では、屈曲の支配的要因である陰極と陽極での曲げの非対称性をイオン体積効果と結論したが、本系ではゼロ電荷電位も観測されており、ゼロ点電荷の曲げへの寄与も今後検討する必要がある。
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